絶望ノオト

ゆっくりと確実に、世界は終わっていく。

魂のデジタル化、その連続性。

AIの開発とVRの開発が、日増しに熱を帯びている。

無機質と有機物の融合が、遂に叶えられようとしている。

人類にとって長らく叶えられなかったこの夢が現実のものになる。

様々な手法が古くから試され、求められ続けてきたこの夢は、遂に実現する一歩手前までたどりついた。

これまでの方法は想像と憶測、誤った観点からのアプローチであったため、中にはオカルトめいた恐ろしい方法を取られることも多かった。

 物語の題材として、とても魅力的なことだったことだろう。

 

それらの物語が謳うAIの進化に伴う物騒な警告は、未来の世界への重大な教訓になっている。

出尽くした感のある膨大な量の問題提起は、クリアできれば、大きな幸福を人の世にもたらしてくれることになるだろう。

あふれるこの世界の悲しみが、少しでも和らいでくれるならそれでいい。

 

AIの闊歩する物理的な世界は、VRの中に生きる人類の生活を維持し、マシンに支えられる生命は、デジタルの世界からAIを管理することになるだろう。

隣合った世界は相互に影響しあう構図になる。

二つの異なった世界が一つになる世界が、目の前に開けている。

 

懸案が一つだけあるとするならば、

それはいわゆる「魂」の問題。

 

元々を有機螺旋の世界に誕生した人間は、複製されることに多大なハードルを要求している。

特に魂や心など、ニューロンの火花が形成する人間の「人格」と呼ぶべきものは、その複雑な構成と道徳的尊厳の高さ故に唯一無二を貫いてきている。

 

「魂」がニューロンの輝きの集合だと結論づけるのはいささか情け容赦ない思想だと思うが、

脳の解析がこれから進み、極小の電動性物質を器にした複製が可能になる時代が来た場合、量産可能な電極の器に移せる魂とはデジタル化が可能になったということで間違いないだろう。

 

生まれた肉体の器から移動できるということは、魂が一度途切れるということだ。

人はそれを「死」と呼んでいる。

魂の肉体からの移動は死を伴っている。
移植先が電極の場合、一度でもサーバーを経由するならデータ化されるはずであり、複製も可能になる。いわゆる魂の「コピー & ペースト」ならぬ「切り取り & ペースト」である。

移動された後の魂は自分ではない別の自分で自分という属性を持った別人である。

 

さらに、デジタル情報の利便性はその複製の用意さにある。

一つの魂を二つにすることができる。

それらは個ではなくなる。

徹頭徹尾自分と同じ人格を持った存在が、この世界に存在してしまえる状態になる。

 

 自分以外の「自分」を肯定できる人間が数多くいるのだろうか?  おそらくそうはいないはずだ。

 

魂を魂たらしめているたった一つの定義とは、

それは、そこにあり続ける連続性にほかならないのだから。

 

 

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